君の声が聞きたい
購買の入口まで来た時、丁度出てきた男子生徒とぶつかった。
私は2~3歩よろめく。
「す〜…せ…。」
スッと頭を下げる彼に戸惑った。
頭を下げているから口元は見えなかったけど、拾えた音から恐らく“すいません”と言ったのだろう。
「あ、こちらこそ、すいません。」
彼は直ぐに立ち去った。
私は呆然とその後ろ姿を見送る。
黒いヘッドホンに白のライン。
屋上の彼だ。
微かに漏れていた曲は、見た目からは想像も出来ない激しいロックミュージック。
「って、早く戻らなきゃ時間なくなる!」
私は適当にサンドイッチを購入してまた再び教室に走った。