君の声が聞きたい

学校から駅までは徒歩15分程度。
一応、市バスは駅と学校の近くに通っているが普通に歩ける距離のため利用する生徒はあまりいない。
勿論、俺も徒歩だ。
前や後ろには同じ制服を着た人がまばらにいる。
誰もかれも、友人と楽しそうに笑いながら歩いていた。


『ヘッドホン外せるようになれよー。』

頭の中に伸也の声が響く。
わかってんだよ。
俺自身、最近よく考える。
いつまでコイツに縋るんだと。
でも、何度挑戦しても出来無い自分が酷くカッコ悪りぃ。
俺はヘタレだ…。

歩きながら空を見る。
清々しい程の青空。
前からは冷たい風が吹き抜けて髪を揺らした。
先を歩く生徒も、僅かに肩を縮こめる。

俺はそっと、ヘッドホンに触れた。
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