君の声が聞きたい
俺は何処か冷めた気持ちでその生徒を見ていた。
俺の中に冷たくてドロドロとした感情が溜まる。
それを吐き出すように流れる音楽。
自分の体を抱えるようにして息を吐く。
苛々してしょうがない。
落ち着けよ、俺。
その時、背後から乗用車とは違うエンジン音が聞こえた。
振り返れば、道幅ギリギリの大きさのトラックが徐行して迫ってきている。
何処かトラックが避けれるスペースを自然に目で探した。
数メートル先に砂利の駐車場を見つける。
あそこで、トラック抜いてくのを待つか。
俺の足はそこに向かって動き出したのに、不意に気になってさっきの生徒を見た。
女子生徒は全く避ける様子が無い。
いや、違う。
避けないんじゃ無くて、気付いてないんだ。
俺は、ふと直感でそう思った。
その瞬間、俺の体は今見つけた駐車場を素通りしていた。
地面を蹴り、女子生徒に向かってぐんぐんと近付く。