君の声が聞きたい
「あんた!死にたいの?」
「え?っきゃ!」
気が付けば怒鳴ってて、その女の腕を引っ張っていた。
丁度いい場所に避けるスペースがあり、俺はそこに体を入れる。
突然の事に驚いてバランスを崩す女子生徒を荒っぽく片手で支えた。
その横をトラックがゆっくりと走り去る。
それを見た女は一瞬震えた。
俺は女子生徒をきちんと立たせてやる。
長い彼女の髪で胸のエンブレムが隠れ、学年は分からない。
俺の学校は、エンブレムの色を見れば先輩か後輩か直ぐわかるようになっている。
「あ、ありがっ…とうござい…ます」
彼女はお礼を言いかけたが、俺の顔を見て目を見開き不自然に言葉を切った。
その時、また風が吹く。
彼女の髪が揺れエンブレムが見えた。
…先輩、ね…。