君の声が聞きたい
俺より少し背の高い先輩は、俺を見たまま固まっている。
…なんなんだよ。
というか、それよりも…。
「あんた、何考えてんの?死にたいの?それとも、本気で気付いてなかったとか言うつもり?」
キツい言葉が溢れて止まらない。
何で俺、こんなに熱くなってんだよ?
ただ、人が傷付くのを目の前で見るのはもう耐えられない。
虐めであれ、事故であれ、人が傷付くのに変わりはないから。
助けたのは単なる俺のエゴで、先輩を責めるのは筋違いだ。
分かっているのに、心がドロドロする。
「ご、ごめんなさい。そんなつもりじゃなくて…。ただ、考え事をしてて本気で気が付かなかったの。」
よく見れば、先輩はそこそこ整った顔をしていた。
長い睫毛を震わせて、俺を見つめる。
「考えごとなら家でしろよ。あんた、そんなんだといつか死ぬよ?」
先輩の横をスッと通り抜けて、俺は1人駅を目指した。