君の声が聞きたい
うぅ…。
やっぱり、なんとなく他の学年の校舎を歩くのは居心地が悪い。
私は今、ヘッドホンのあの男の子に会うために2年生の校舎を歩いている。
因みに今は、始業時刻の10分前。
朝来たのには理由がある。
彼が屋上に行くのは、比較的朝が多いから。
でも、毎回って訳じゃ無いから居なかったら今日は諦めよう。
そう思いながら、屋上に続く階段に足を進めた。
屋上の扉の前。
深呼吸してから、ノブに手をかけた。
勢いよく回してみるが、ビクともしない。
開いてない…か。
残念な気持ちと、どこかホッとした気持ちで息を吐く。
って…、ちょっと待って?
いや、開いてないのは当たり前なんだけど…、そもそも彼はどうやって屋上に入ってるの?
今更ながらに私はそんな疑問に気が付いた。
もしかして、あの男の子は鍵を持ってるの?
いやいや、ただの一般生徒にそれはない。
じゃあ、一般生徒じゃないって事?
実は理事長の息子とか!?
いやいや、そんな漫画みたいなこと…。
それじゃあ…、ピッキング!?
いや、でもそれってバレたらマズイんじゃ…。
私は1人で百面相をしていた。