君の声が聞きたい
っ!?
ふと背後に気配を感じて、バッと振り返る。
そこにいたのは…。
「君…。」
訝しげな表情をした、紛れも無いあの男の子だった。
ちょ、ちょっと待って!
こんな、いきなりって…。
まだ、何喋っていいか整理ついてないよ。
再び1人で百面相をしていれば、男の子が思い出したように口を開いた。
“昨日の…。”
「あ、うん。君にお礼が言いたくて。」
ヘラッと笑って見せれば、そう言うのいらないんで、と私の横を通り抜けた。
私は、その笑顔のまま一瞬固まる。
「ま、待ってよ!」
慌てて振り返れば、彼は扉じゃなく扉の横の段ボールの奥に入っていこうとしていた。