君の声が聞きたい
私も慌ててその後を追う。
「!こんな場所…あったの…?」
山積みにされた段ボール。
その後ろにあったのは、人が1人通れるくらいの隙間と窓。
窓は内鍵だから、いとも簡単に開けれてしまう。
男の子はその窓から屋上に体を滑り込ませた。
恐る恐る、その窓に近付く。
私でも余裕で通れる大きさだ。
よく、こんな抜け道を見付けたな…。
感心しながら、私も屋上に踏み出した。
薄暗かった階段から外に出れば、空は綺麗に晴れていた。
春の優しい日差しが私を包む。
視線をずらせば、彼は内側から鍵のかかった扉の横の壁に背を預けて座り込み、私を見上げていた。
“来たんですか?”
彼は少しだけ不機嫌そうに視線を私から外す。