君の声が聞きたい
壁に背を預けたまま目を閉じれば、睡魔に襲われた。
頬を春の少し冷たい風が撫でていく。
俺は睡魔に抗うことなく意識を手放した。
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「なぁ、荒城も思うだろ?」
誰だ?
誰かが俺に話しかける。
どことなく、幼い男の子の声。
ゆっくりと目を開ければ、俺は何処かの教室にいた。
話しかけてきた男の子の顔はよく見えない。
そして、その男の子の他に目の前で静かに涙を流しながら震える男の子がもう1人いた。
あぁ、またこの夢。
これは俺の記憶だ。
話しかけられたのは俺じゃない。
幼い俺だ。
「う、うん。」
幼い俺は泣いて震える男の子を気にしながら、話しかけてきた男の子の顔色を伺う。
何度も見たこの光景。