君の声が聞きたい

「うん、いいの。元から1限はサボるつもりで此処に来たんだし。」


私の言葉に、荒城君は眉根を寄せた。
嫌な予感でもすると言いた気な表情で私を見てくる。


“此処は俺が見付けたサボり場です。先輩はサボるなら他行ってください。”


淡々と言葉が紡がれる。
迷惑そうな表情に少し怯むが、私は引かない。


「それじゃあ、意味が無いんだよ。私は荒城君と話がしたくて此処に来たんだから。」

“俺は話す事なんて無いですよ。”

「君に無くても私にはあるのっ!」


背を向けられないように必死に言葉とトーンに気を付ける。
それ以上、荒城君は言い返して来なかった。
聞いてくれてるかは分からない。
けど、私は自分の中にあるモヤモヤの答えが知りたくて彼に問いかけた。


「君、いつもヘッドホンしてるよね?この世界には、沢山の素敵な音が溢れてるのに、どうして自ら耳を塞ぐの?」
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