君の声が聞きたい
蓮side
「君、いつもヘッドホンしてるよね?この世界には、沢山の素敵な音が溢れてるのに、どうして自ら耳を塞ぐの?」
俺の頭の中を、さっきの先輩の言葉が渦巻く。
どんなに、音楽プレイヤーの音を上げても消えてはくれない。
何、熱くなってんだよ…俺。
いつもなら、誰に何を言われようとも動じる事は無いのに。
あの、何の雑じり気の無い真っ直ぐな目で問いかけられたら、ついカッとなった。
なんでいつもヘッドホンしてるの?
人と話すときくらい、ヘッドホン取りなさい。
俺のヘッドホンに触れる話をする奴は、どいつもこいつも侮蔑的な目を向けてきた。
そんな目には、慣れているのに…。
あんな目を向けられたのは初めてだ。
最後に微かに聞こえた様な気がした先輩の声は、揺れていた。
何なんだよあの人…。
昨日今日と、俺はあの人に掻き乱されてる気がする。
変な先輩…。