君の声が聞きたい
と言うか、そもそも何で先輩は俺がここに来るって分かってたんだ?
偶然来たって訳では無さそうだった。
俺はふと、反対側の校舎を見た。
3年の館…。
もしかして、俺がよくここに来るって見えてたのか?
確か、3年2組って言ってたっけ?
俺は何故か無意識にその教室を探していた。
あの辺か?
微かな記憶を頼りにその教室を見付けた。
確かにあの位置にある教室なら、屋上に誰かいる事くらいは分かるだろう。
でも、顔の判別までは難しい。
そこまで考えて気付く。
3年2組の教室の、窓側一番後ろの席が空席になっている。
もしかして、あそこが先輩の…?
…いや、俺には関係の無いことだ。
もう、話す事も無いだろう。
そう考えて、視線をその教室から外す。
授業は3限から出よう。
俺がどんなに掻き乱されていようと、変わらず時は進むし、いつもと変わらない世界の顔がそこにある。
でも、変わらなくて良いんだ。
現状維持が一番良い。
変わる事を、俺自身が恐れているから。