君の声が聞きたい
「水、飲むか?」
スッと目の前に水のペットボトルが差し出される。
軽く頷いて受け取れば、まだソレはヒンヤリと冷たかった。
「なんで、持ってるんだよ?」
「蓮を探しに来て、なんとなく喉乾いてたから途中の自販で買った。」
タイミングが良かった。
正直、この屋上から1番近い自販まで少し距離があるから行くのが億劫だったんだ。
「ん、さんきゅー。」
水を飲んで少し落ち着いた俺は、伸也にペットボトルを返すと立ち上がった。
伸びをすれば、新鮮な空気が体に入り心地良い。
「授業でるのか?」
「あぁ。」
首を回しながら返事をすれば、伸也は安心したように綺麗に笑った。