君の声が聞きたい
教室に戻るため、廊下を歩いていれば3限始業のチャイムがなる。
だか、俺も伸也も走ろうとはしない。
教室はもう目と鼻の先だ。
後ろの扉を躊躇いもせず開ければ、一斉にクラスメイトの視線を集めた。
「荒城!長谷部!遅いぞ!」
生物担当のおじさん教師が目を釣り上げる。
「すいませーん。」
伸也の悪びれた様子のない謝罪に噛み付く教師を尻目に、ヘッドホンの音量を上げて席に着いた。
先生がこっちを向いて何か言っているようだが、音量を上げ周りの音を遮断した俺にその言葉が聞こえる事はない。
そんな俺に諦めたのか、先生また授業を再開した。
俺はそんな授業を聞くことなく、勝手に問題集を広げる。
教師の説明を聞くなんて、無駄な時間としか思えない。
教科書読めば大方理解出来るし、難しい所は参考書が解説している。
それで十分だ。
授業は俺にとっての自習時間でしかない。