君が笑うとき
「わぁっ!!!」


俺はびっくりし、思わず声をあげた。


…こいつヤバイ!


絶対ヤバイ!


するとそいつは俺が起きたのに気がつき、こっちに歩いてきた。


「怖!来るなよっ!」


必死に後ずさりするが、そいつのほうが速い。


少しずつ、俺とそいつの距離が近づいていく…


あっというまに俺はすぐに追いつかれてしまった。


そのときの俺はものすごい顔をしていたんだと思う。


自分でもその時どういう顔をしていたか思い出せないほどだ。


「ねえ…」


いきなり喋りかけてきて俺は驚きが隠せなかった。


そいつはたしかに女の声だったんだ。


「はっ!?なっ…なんだよっ」


「これ、描いたからあげる」


「…え?」


そいつは一枚の紙をわたし、スタスタとどこかに歩いていってしまった。


微妙な空気だけが残る…。


「なんだ、あいつ…」


チラっと少女からもらった紙を見ると、そこには俺とあの大きな木が描かれていた。


俺が木に横たわり、寝ている絵。


すごくきれいな水彩画だった。


「これって…」


顔をあげ、辺りを見回したが、もうあいつはどこかへと行ってしまっていた。
< 11 / 201 >

この作品をシェア

pagetop