君が笑うとき
だが、それを彼女はこばみ、「やめて!」と叫んだ。


「離してよっ!あたしのこと、遊んで捨てたくせに!」


「違う!」


腕を振りほどこうとする麻由を力ずくで地面に押し倒した。


「いやあ!コウくんっ!助けて…っ!」


「なんでだよ…っ!なんであんな奴がいいんだよ!あいつは、あいつには女がいるんだよ!」


「離してっ!っん…!」


ショウは無理矢理キスし、夢の体をさらに強く抱き締めた。


「お願いだから…っ。俺のこと見てよ…。お願い……」


「いや…助けて…コウくん…っ」


泣いている麻由を見て俺の目から涙が溢れた。


「どうして…幸介なんだよ…。どうして…」



俺は


悔しかった―――


< 137 / 201 >

この作品をシェア

pagetop