君が笑うとき
俺のほうが麻由のことを愛していたつもりだったのに…


自分が、情けなくて…バカすぎて…


彼女は泣いている俺を見ながら、つぶやいた。


「コウくんに好きな人がいることは知ってる…。でも、あたしは…コウくんが好きなの。ただそれだけのことなのに…」


麻由はそう言って俺の前から姿を消した。


そのあとも俺は涙が止まらなく、その場でしゃがみこんで泣いた。


それと同時に俺は幸介が憎くなった。


あいつがいなければ…麻由の気持ちは揺らいでなかったかもしれない


少しは俺のこと見てくれたかもしれない



こんなにも簡単に麻由を手に入れる幸介が…憎かった




< 138 / 201 >

この作品をシェア

pagetop