君が笑うとき
私、昔から視力が弱くて、今はもう目の中に光がほとんど入ってこなくなったの。


あと数年で見えなくなると思う。


だから絵を描いて、自分が見てきた世界を残したかったんだ。


言ったよね。


『絵はあたしの目だから』って。


それでね、一番大切な人を描こうと思ったの。


いっぱい描いて、その人に届くように。


その人はすぐ私のことバカにするけど、かっこよくて、強くて、優しくて…。



大好きだったんだ。



結局、何も伝えることはできなかったけどね。


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