君が笑うとき
そう言って俺はパレットに絵の具を出そうと、白の絵の具を手にした。


でもそれはもう潰れていて、とても絵の具が入っているような感じがしない。


「あ、絵の具なくなった」


ためしに白の絵の具をしぼったが、やっぱり出てこなかった。


「僕が買ってきましょうか?」


「いいよ、自分で買ってくる」


そう言った俺は椅子から立ち上がり、大学の外へ出て、近くの画材屋のところまで足を歩
ませた。


もう梅雨があけ、本格的に日差しが強くなってきていた。

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