君が笑うとき

ハジマリ

「お前、まだここで描いてんのか?」


俺はまだひまわりの前で絵を描いている麻由に言った。


「だって、まだ完成しないんだもん~」


「ふーん」


…いつしか俺は毎日麻由のところへ通っていた。


わざとそっけない態度をとっていたけど、本当はこいつに会えて嬉しかったんだ。


今日も一人で描いている麻由に話しかけた。


「そういえば、お前…なんで絵なんて描いてるの?」


前から気になってた質問。


麻由は俺のほうに視線をずらしたあと、また絵のほうに視線を戻して言った。


「絵はあたしの目だから」


彼女は真面目に言ったんだ。


やっぱり…変人だ


面白くて笑ってしまった。



…俺はあのとき、君がさりげなく言った言葉に気付くことができなかった


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