心の恋愛事情
さすが母校のお祭りとあって、同中の子や同じ地区の後輩、またその親など知っている顔があちらこちらにある。
毎年家族や友達と来ていた祭りに彼氏と来ていることが、凄く違和感だった。
それにいつもは自転車に乗って並んで話をしている祐と、今は並んで歩いている。自転車という隔たりのない距離感が新鮮だった。
私は嬉しさと恥ずかしさとでつい下を向いて歩いてしまった。


そんなウキウキな気分も祐の友達に出会した途端、崩壊した。
祐の友達は会った途端に容赦なく「お前らマジで付き合ってたん?」と冷やかしてきた。
私はそれが凄く嫌だった。

祐も冷やかされるのは抵抗があったのか、私たちは屋台でかき氷を買って校庭の隅の方へ避難することにした。



お祭りは、真ん中に入れば賑やかだけれど、少し離れてしまえば別世界。
私はこの妙な静けさのあるところから賑やかなところを眺めるのが好きだった。


「何かせっかく祭りに来たのにこんな隅いたんじゃ意味ねぇな」

「あはは、でものんびり座れて満足だよ?人混みは疲れるもん」

「お前らしいな」





祐はそう言って笑った。
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