心の恋愛事情

「んとね、じゃぁ…食べ物は太るから嫌。」

「じゃぁアクセサリーとか?」

「んー…」


ついこの間、私と祐の共通の女友達の恭に、祐から指輪とか貰わんの?と聞かれたばかりだった。
祐はそんな気の効く奴じゃないか、と笑い話になってしまったけれど…。




『誕生日にねだれば?』




その時に恭の言った言葉がふと頭をよぎった。


「アクセ…というか………」


…言葉が続かない。





“指輪がいいな”





たったこれだけの言葉が出てこなかった。

「ん?何かリクエストあるん?」

「…やっぱいいや!具体的に言っちゃったらつまんないもん」

「いやいや!言えよ、そこは!!」

「あはは!頑張って考えなよー。楽しみにしとくから♪じゃぁね〜」



そう言い残して私は角を曲がった。
別に凄く欲しいわけじゃない。
貰えたら嬉しいな、とは思うけど。
ねだってまで欲しいわけじゃない…




けれど数日後―――
祐から
「お前、指のサイズなんぼ?」
と訊かれた時はドキッとした。




まさか…まさか…ッ!!




あの祐が、ねだってもいないのに指輪をくれる…。
そう思うととても嬉しくなった。


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