心の恋愛事情
「ん、じゃぁもぅ帰るね」

「おぅ。誕生日おめでとさん」

「…ん、ありがと♪じゃぁねー」







家に帰り、祐から貰った袋を開けた。





―――ツリー…?





祐から貰った袋から出てきたのはキャラクターの小さなツリーだった。





―――指輪…じゃない…?





期待していた分ショックが大きかった。
プレゼントが不満だったわけじゃない。
けれど…






指輪じゃぁなかった…



「…期待損かぁ…」


私は袋を持ったまま後ろに寝転がった。


"カラン"



―――ん?



何か金属の物の転がる音。
音のした方を見て、つい目を細めしまう。


銀色の、円状の物体…


ゆっくりそれを手に取る。




「…ゆび、わ…?」



見たことあるデザイン。
近くの店で売ってる、300円の指輪。
お金のない中学生の選びそうな、安っぽい指輪。


それでも…嬉しかった。


確かにあまりの安物に衝撃も受けたけれど…


祐から貰った初めてのプレゼント。

別々にしてくれた誕生日とクリスマスのプレゼント。

クリスマスツリーと…



指輪。





とても、嬉しかった。





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