心の恋愛事情

3月31日。
今日でスイミングの練習は最後だった。
祐と一緒に帰るのもこれで最後…



「お前今日時間ある?」


帰り道、祐がそう聞いてきた。


「え…あ、うん。ちょっとなら…」


きっと今日は最後だから皆とワイワイやるだろうと思い、帰りが遅くなると思う、と親に言ってあった。
いつもの門限は10時。
30分位はきっと許容範囲だろう。


「石碑んトコで話さん?」

「うん、いいよ」




いつもの分かれ道。
今日はそこで止まった。
通行の邪魔にならように自転車を停め、自転車に縋りながら話をした。


「出発すんのいつ?」

「私?んとねー…4月5日…のはず。祐は?」

「俺も5日。…ねぇ、4日とか会えん?」

「あ、うん。いいよ。多分大丈夫。…荷造りが終わってたら」

「ホントにな。俺も全然手ぇつけてないし」


そう言って祐は笑った。
ふと、明日から祐に会わないんだ…と思った。
今更だけど。





私達は水泳で繋がっている。
水泳の練習がなくなれば、私達のつながりはなくなる。





何となく“寂しいな”と思った。








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