心の恋愛事情

「う…うん…?」


この緊張感に私の鼓動も高鳴っていく。
きっと祐の心臓はもっと凄いことになっているだろう。



祐は一度深呼吸をしてから、再び口を開いた。


「明日から…さ、遠恋が始まるじゃん?…だけん、その…キス……ぐらいしとけ、って…ダチに言われて…」






あぁ、やっぱりか…






あまりにも予想通りの内容で吃驚した。

それにしても、お互いが自転車にまたがったままの状態で言う台詞ではない。
もう少しムードというもんを大事にしろよ、と心の中で呟いてしまう。

そう冷静に思う自分もいれば、心の中にはもう一人。

“遠恋になるから”とか“友達に言われたから”とか…そんな理由でキスをしたいと言う祐に少し幻滅している自分がいた。







「…えっと…“聞き流して”もいいかな…?」






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