心の恋愛事情

“帰るとき声かけろ”



そう言われたものの、基本的に男子と関わりをもたない私が、男子が集まって話をしている中に声をかけるなんてことはできなかった。
一応祐に目で訴えてみたがなかなか気付いてもらえず、かなり苦戦した。



けれど1ヶ月もすると、なんとか「帰ろ」の3文字だけは言えるようになった。


初めはフラつきながら自転車をこいでいた帰り道の細い道路も、2人で並んで自転車をこぐことに慣れ、真っ直ぐ走れるようになった。


このたった10分ちょっとの道のりを、2人で帰る時間がとても大切だった。

スイミングの練習は週6回。つまり一週間に60分だけが、唯一私たちが2人きりになれる時間だったのだ。




それでも気が付けば、この嬉しかった時間も当たり前の時間になっていた。





こうして少しずつ小さな刺激から大きな刺激を求めていくようになる………








恋愛欲は止まることをしらないのかもしれない…。



< 7 / 51 >

この作品をシェア

pagetop