心の恋愛事情
中学校は夏休みに入り、スイミングの練習は朝と昼間の2部練になっていた。
後半の練習も夕方の5時には終わっていたが、私と祐は遊びに行くわけでもなく、いつもそのまま家へと帰っていた。



「お前明日祭行くよな?」


いつものように2人で帰っている時に祐がそう言い出した。

「祭?…あぁ七恵祭?そりゃ行くつもりだけど…」

七恵祭は私の母校であるT小学校で行われる小さなお祭りだ。
小さいお祭りが故に打ち上げ花火がかなり近くで見れるのが魅力だった。
大体T小学校の在校生卒業生はこの祭に参加している。


「N小のあんたがT小の私に訊くのおかしくない!?私の母校だよ?」

「中学入ったら小学校なんて関係ないし!!N小の連中も毎年行っとるし!!」

「…お祭り好きが…」


私がそうつぶやくと、うるせぇと言いながら一緒に行こう、と言ってきた。


「練習終わって一回家帰っても6時くらいには行けるだろうし。あ、でもお前が練習後でキツイんなら無理にとは言わんけど…」



祐はいつもそうだ。いつでも私のことを気遣ってくれる。
…けれど、私はその優しさにうまく応えることができなかった。



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