俺様常務の甘い策略
ギャギャー!

声にならない悲鳴。

「この状況でよく言えるね」

藤堂が私の瞳を捕らえながら妖艶に微笑む。

だが、言葉がいつもと違って刺々しい。

「そんな怒らなくてもいいじゃない!責任取らなくていいって言ってるんだから!」

「余計悪いよ。もっと自分が女だって自覚したら?今、俺の腕から逃れる事も出来ないんだからね。昨日の夜の事なんてほんとは覚えてないでしょ?」

やっぱり怒ってる。

でも……楽しい夜を過ごしたんだよね?男ならそれで満足なはずじゃない?

何で私が藤堂にお説教されなきゃいけないんだ?

この状況……何も覚えていない私の分が悪過ぎる。ここは、一旦退却したいけど、どうすればいい?

「……ごめんなさい。全く覚えてません」

ここは素直に認めて藤堂から離れて早く家に帰らなければ……。

私は藤堂に頭を下げて謝った。

今何時だ?

藤堂から視線を外し、時計を探すと壁にシックなブラウンのデザインの時計が掛かっていて、見れば七時十分。
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