俺様常務の甘い策略
会社の始業時間は八時半。でも、今日はお茶当番だから八時には会社に着いていたい。

でも……家に戻って着替えて出勤してたら八時半も怪しくない?

「ところで……藤堂、ここはどこかな?私の携帯知らない?」

「俺の家。秋月の荷物は全部会社」

げっ‼携帯が会社じゃあ、夏海ちゃんにも連絡取れないじゃん。流石に彼女の携帯の番号までは覚えていない。

マズイ……マズイよ、この状況。

荷物も会社って事はお金も持ってない訳でしょう?

「秋月、甘い夜の代償って大きいよね。その賢い頭で何を必死に考えてるのかな?」

悪魔な顔で藤堂が私の考えを見透かしたように私をじっと見つめる。

ええい、ここはプライドを捨てて仕事を優先に考えよう。

「……藤堂常務、お金……貸してくれませんか?」

「この状況で常務って呼ぶなんておかしくない?駄目だな。やり直し」

やり直しって何よ!この悪魔!

心の中で悪態をつくと、藤堂の頭が下りてきて私の鎖骨にチュッと軽く口付けた。
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