俺様常務の甘い策略
「そんな見栄はったって、良い男は捕まらないよ。だいたいそんな見せかけで勝負しようだなんてお前らしくない。俺に挑むみたいに素の自分でいれば?そんなお前が良いって言う物好きが地球上に一人はいるかもよ」

こいつの毒舌に思わずムッとする。

金持ちの家に生まれて何不自由なく暮らしてきたあんたに何がわかる?

「あんたに迷惑かけてないでしょう!送ってくれてありがと!会社は電車で出勤するから」

私は腹を立てながら礼を言うと、シートベルトを外して車から降りる。すると、何故か藤堂も車を降りて私について来た。

ああ、もううざい。

「ねえ、ほんとにいいってば。コーヒーとか出す暇ないし」

時間がないんだからさっさと帰って欲しい。それに、一人になって落ち着きたいのよ!

邪魔よ、邪魔。空気くらい読めるでしょう?察してよ!

「コーヒーはいらない。本当に人が住めるか気になるんだよね?」

こいつ……殴ってやりたい‼

貧乏人を馬鹿にして、私の部屋を見て笑い飛ばす気?
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