俺様常務の甘い策略

「藤堂さん、秋月さんに何かありました？」

「……ああ、ちょっとね。面倒な奴に捕まったらしい」

「面倒な奴？」

「アダムス石油の元同僚が予定より早く来日したらしい。田中さん、悪いけど午後の予定全部キャンセルしてくれる？」

「……全部ですか？」

俺の依頼に田中さんが渋い顔をする。

まあ、午後は予定が詰まってたし、リスケするのは面倒だろうな。

「大変だから秋月が戻ってから彼女にやらせてもいいよ」

俺の言葉に田中さんはキッと俺の顔を見上げた。

多分、彼女のプライドが傷ついたのだろう。でも、彼女にとっては良い方向に向かってると思う。

「秋月さんの事、信頼してるんですね。でも、私がやります」

俺を睨み付けるようなその視線。秋月の名前を出されて悔しいのだろう。

「そう。悪いけど頼むよ。多分、今日は戻らないと思う。何かあれば携帯に連絡して」

秋月への対抗意識でも、やる気になるのはいい事だ。