俺様常務の甘い策略
俺は田中さんに向かって優しく微笑むと、秘書室を後にし地下の駐車場に向かう。

廊下を歩きながらスマホで秋月の番号を探して電話をかける。

コール四回目で相手が出たが、その相手は秋月ではなかった。

『やあ、颯介ちゃん、久しぶり』

ジェイクの声を聞いて思わず顔をしかめる。

秋月の携帯にこいつが出るって……。電話まで取り上げて本当の誘拐犯じゃないか。

悪ふざけし過ぎだ。

「おいたが過ぎるんじゃないかな?どういうつもり?」

冷たい口調で問い質すと、電話の向こうでジェイクがフッと笑った。

『やあ、相変わらずクールだねえ、颯介ちゃん。お前が女だったら俺、確実にお前に惚れてるわ』

ジェイクがいつもの調子で俺を茶化す。

俺がまともに相手にしないから余計絡んでくる。本当に面倒くさい。

「気持ち悪いからやめてくれる。で、秋月に何もしてないだろうね?」
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