俺様常務の甘い策略
彼の顔も永遠に見ずに済む。

これで邪魔者はいなくなった。そう思ってた。

なのに、何で今になって現れるのよ。

ギッと藤堂を睨み付ける。

ああ……あの時の怒りが沸々と込み上げてくる。

「アメリカにいてもお前の噂が聞こえてきたよ。男に貢がせて派手に暮らしてるとか、アクセサリーみたいに男を変えるとか。身に付けてるものはほとんどがブランドっぽいし、まんざら嘘でもないか」

藤堂がどこか値踏みするような目で私を見ると、私に近づき私のカールした髪を一房つかむ。

「この髪型も似合ってないんじゃないかな?お前らしくないよね?」

私は藤堂の手をバシッと振り払った。

玉の輿は狙ってるけど、男に貢がせた事はない。自分が身に付けてるものは全部自分のお金で買ったものだ。

「気安く触るな!髪が腐る。私をからかう暇があるなら、他の女の相手でもして今夜の相手を見つけたら?」

「軽くあしらうのも面倒で逃げて来たんだけど。俺は付き合いで参加しただけだから、本気で婚カツしてると勘違いされても困るし。だから、秋月がしばらく相手してよ。お前なら絶対に勘違いしたりしないしね」
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