俺様常務の甘い策略
「……藤堂と再会してから私の運気って確実に下がってるよね」

私はタクシーの中でボソッとぼやく。

タクシーが六義園の前に停車すると、ジェイクに手を捕まれ強引に降ろされた。

この馬鹿力‼

「ちょっと、もっと優しく出来ないの!痛いじゃない!それに、また庭園な訳?」

私はジェイクをキッと睨み付けながら声を荒げる。

このままタクシーで会社に戻りたいんだけど、いつになったら私は解放されるんだろう。

「そんなに庭が好きなら一人で楽しめばいいじゃない。私を巻き込むな!」

「まあまあ、怒るとその綺麗な顔が早く老けるぞ」

ジェイクが私の肩をポンポンと叩く。

こいつが小石川後楽園に引き続いてまた私の分も入園料を払い、仕方なく庭園の中に入る。

「いやあ、都会のオアシスだよなあ。癒される」

ジェイクは庭園を見てご満悦だが、私の気分は最悪だ。
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