俺様常務の甘い策略
確かに、庭園は木がたくさんあるし、小さな橋もあって趣があるけど、一つ見れば十分。

そして、何よりこのやらしい手が邪魔!

私の腰に手を添えるジェイクの手の甲を思い切りつねる。

こいつ、私をエスコートしてるんじゃない。また、お尻を触る気だ。これは、痴漢よ、痴漢。

不快でしょうがない。この女の敵め。

触るなら藤堂にしとけっての。それなら私は文句言わない。

「うっ、いてっ!沙羅ちゃんはじゃじゃ馬だなあ」

ジェイクがガハハッと豪快に笑う。

ガハハっじゃない!

「人の尻まで触っておいて、平気な顔するな!」

来週の来客という事は一旦忘れる事にして、ジェイクを人目も憚らず怒鳴る。

「いやあ、沙羅ちゃんみたいに元気な子は新鮮で良いなあ。ほら、あの紫陽花を見てみろよ。青紫色で綺麗でまるで沙羅ちゃんみたいじゃないか」

まだ豪快に笑いながらジェイクが近くの紫陽花を指差す。
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