俺様常務の甘い策略
それに、何で付き合わされるのが私な訳?

「ねえ、何で私なの?女の子と歩きたいなら私じゃなくてもその辺の女の子ナンパすればいいでしょう?」

「理由ねえ、それは颯介ちゃんが沙羅ちゃんを気に入ってるからだ」

「……気に入ってる?」

からかう玩具として丁度いいからでは?

自分の心の中で突っ込んで、私は首を傾げる。

やっぱりジェイクは勘違いしてる。

「ねえ、誤解してるようだけど、藤堂と私は恋人なんかじゃないわよ。ただの上司。私を連れ回したって藤堂は痛くも痒くもない」

あえて昨日の私の失態には触れないでおく。言うとややこしくなるし。妊娠云々の話は今は忘れよう。

「それはどうかな?」

ジェイクの目の色が急に変わる。

「颯介はなあ、人のトップに立つために生まれて来たような奴だ。俺がどんなに頑張っても奴のようにはなれん。普段冷静沈着で自分の事は滅多に話さない男だが、秋月って奴の事だけは目を輝かせながらそれは嬉しそうに語る」
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