俺様常務の甘い策略
私がいないとこで藤堂は何の話をしたのだろう。

私がいつも勝てなかったのを嘲笑ってたんじゃないだろうか?

「藤堂の奴、私の事を貶してたんでしょう?」

私が顔をしかめると、ジェイクは頭を振った。

「いいや。俺が認める唯一のライバルだって颯介は自慢気に言ってたぞ。俺は風間物産とメールのやり取りをするまでてっきり秋月って奴の事を男だって思ってた。だが、秋月は女だった」

ジェイクの目がキラッと妖しく光る。

「女で悪かったわね」

私が口を尖らせると、ジェイクはフッと微笑した。

「悪いとは言ってない。女だから逆に興味を持った。颯介は俺がどんなに美人の女を宛がっても適当にあしらって相手にしない。女に興味がないかと思ったが、沙羅ちゃんは特別なんだな」

「……特別って言われても全然嬉しくないんだけど」

「藤堂がアダムス石油での新しいポストを捨てて日本に戻った一番の理由は多分沙羅ちゃんだ。藤堂はお嬢ちゃんに惚れてる」
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