俺様常務の甘い策略
自分でも驚いていると、パチパチという拍手が聞こえて目の前にあいつが涼しい顔をして現れた。

「さすが秋月。タイミング、キレ、共に最高」

藤堂の奴め……ムカつく!高みの見物しやがって!

「何が最高よ。見てたんなら助けなさいよ。誰のせいでこの変なのに連れ回されてると思ってんの!」

「俺がジェイクを痛めつけるより、秋月がやった方が精神的ダメージが大きいと思ってね。もちろん、秋月が俺の名を呼べば、助けるつもりだったよ」

藤堂が私に向かってニコッと微笑む。

「嘘をつけ!助ける気なんかこれっぽっちもなかったくせに」

私は藤堂のネクタイをつかんで、食ってかかる。

「心外だな」

そんな私を見ても、藤堂はクスッと笑って余裕顔。

「だいたい、あんたがここに来てたなんてついさっきまで知らなかったわよ」

「そう?ところで秋月、油断大敵って言葉知ってる?」

「は?」

突然、何を言い出すんだ?
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