俺様常務の甘い策略
私が藤堂のネクタイをつかんでいた手を緩めると、藤堂がすかさず私の両肩をつかんで私の唇を奪った。

私の下唇を甘噛みしてキスを楽しむと、藤堂は私の目を見て勝ち誇った笑みを浮かべる。

私は口をパクパクさせたまま呆気に取られた。

「いつから失語症になったの、秋月?俺の前では本当に隙だらけだね」

「お~い、そこ、いちゃつくならよそでやってくれ」

私から受けたダメージが和らいだのか、ジェイクが起き上がって私達に声をかける。

「だ、誰がいちゃついてるのよ!」

私が顔を真っ赤にしてジェイクに向かって抗議すれば、ジェイクはフッと微笑した。

「俺にはお互い楽しんでるように見えるがな。楽しんでないなら、何で颯介ちゃんにも一本背負いしなかった?」

「そんな余裕なかったわよ!」

「ふうん、自覚ないのか。お前も苦労するな?」

ジェイクが哀れみの眼差しでチラリと藤堂を見る。
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