俺様常務の甘い策略
「俺は秋月が羨ましいけど。いつも正面を見据えてて自分の力だけで生きてる」

その真っ直ぐな姿がいつもキラキラしてて、俺には眩しいくらいだ。

アメリカに行ってた六年間、よく秋月なしでいられたと思う。

仕事面では凄く充実していたが、プライベートはないに等しかった。

ジェイクによく女を紹介されたが、どの女も相手にする気にはなれなかった。

それもそのはず、秋月ではなかったのだから……。

こいつに再会した今、彼女を離したくはない。ずっと側にいて欲しい。

俺は自席から立ち上がると、秋月に近寄り彼女の頬にそっと触れた。

「お前は凄いよ」

秋月の目を捕らえてそう言うと、彼女の瞳が揺れた。

「藤堂?」

秋月が緊張した面持ちで俺の名を呼ぶ。
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