俺様常務の甘い策略
耳に心地よいその声を聞いていると、秋月の全てが欲しくなる。

彼女の目はじっと俺を見つめたまま。

この雰囲気で俺が次に何をするかは察しているのだろう。

秋月の目は戸惑っていた。

だが、こいつは多分逃げないだろう。嫌なら抵抗くらいするはずだ。

それこそ、ジェイクを投げ飛ばしたあの時のように……。

顔を近づけて秋月に口付けようとしたその刹那、彼女の腹がぎゅるると鳴った。

「あっ……」

秋月が恥ずかしそうに下を向く。

キス出来なかったのは残念だけど、チャンスはいくらでもある。

俺の最大のライバルってこいつの空腹じゃないだろうか。

俺はクスッと笑うと、秋月の頭をポンと軽く叩いた。

「困ったお腹の虫だね」

「お昼は蕎麦だったからよ」

顔を真っ赤にしながら秋月が言い訳する。

それから、お腹の虫がぐうぐう鳴り続ける秋月が可哀想で、仕事の後焼肉を奢ることにした。
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