俺様常務の甘い策略
デザート一つで運命が決まる訳じゃないし。

本人はとっくに忘れてるようだが、この後帰るのは俺の家。

今さら足掻いたところで逃げられはしない。

「う~ん……杏仁豆腐はケーキじゃないしいいか」

秋月が自分に納得させるようにぶつぶつと呟く。

結局、タン塩も杏仁豆腐も注文したこいつは、ニンマリしながら全て完食。

こんな細い身体してるのに、よくあんな量の肉を食べられるな。

しかも、あのジェイクの巨体を投げ飛ばしたのだ。

こいつが庭園でジェイクを一本背負いするのを見た時は、正直驚いた。

六義園に駆けつけた時、ジェイクが秋月に手を出すのを見てすぐに助けようと思ったが、秋月がジェイクの腕をつかんで身を翻すのを見て俺は秋月の動きを見守る事にした。

その結果、ジェイクは投げ飛ばされた。

ほんの一瞬の出来事だったけど、その時の光景はスローモーションのように俺の目に焼き付いている。
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