俺様常務の甘い策略
バスルームのドアを開けると、家主がいて上半身裸で髭を剃っていた。

「あっ……」

私は藤堂の姿を見て声を失う。

「おはよ。夜ずっと片付けてたんだね。お陰であの客室、綺麗になったよ」

藤堂が私の方を見てニコって挨拶するが、私は挨拶出来なかった。

父と同じ事をやってるのに、どうしてこうも違うのだろう。

あまりにも絵になりすぎていて、ドキドキしながらもガン見してしまった。

決して痴女ではありません。

こいつが綺麗過ぎるんだもん。

細マッチョっていうんだろうか?

凄く綺麗な身体してて、写真集出したら売れるだろうな。

「……藤堂って髭生えるんだ?」

意外そうに聞けば、藤堂はクスッと笑った。

「俺だって男だから、そりゃあ髭くらい生えるよ」

「……でも……王子様って髭もなさそうじゃない?」

「それに、トイレにも行かないって?でも、残念ながら俺は王子じゃないよ。寝惚けてるの?」

「いえ、起きてますけどね。……藤堂って基本、王子キャラじゃん」

「何それ?俺って結構邪な事考えてるけど、実践してみせようか?」
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