俺様常務の甘い策略
「同棲じゃない!勝手に決めないでよ。ちょっとの間お世話になるだけよ。ボーナスが出たら出てくわよ!」

「ボーナスが出たらねえ。引越し代に敷金礼金払えるの?セキュリティーがしっかりしてるところじゃないと、俺は許可しないよ」

許可しないって……。

「あんた何様よ!」

声を荒げて怒れば、藤堂は私の眉間を指差した。

「ほらほら、そんなに眉間にシワ寄せて怒ると生まれてくる赤ちゃんにも影響するかもよ」
口調は優しいが、明らかに私にダメージを与えようとしてる。

前言撤回。

やっぱり藤堂は凄く嫌な奴だ。

私は額を押さえながらハーッと深い溜め息をついた。

「……その話題、止めてくれる?頭痛がしそう」

「ごめん。ちょっとからかい過ぎたかな?邪魔な俺は退散するよ。ごゆっくり」

クスリと笑ってポンと私の肩を軽く叩くと、藤堂はバスルームから出ていく。
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