俺様常務の甘い策略
私が「どうしたの?」と首を傾げると、藤堂は優しく微笑んだ。

「ちょっと待ってて」

映画が始まるまでスマホを見ながら時間をつぶしていると、藤堂が慣れた様子で飲み物を運んで来てくれた。

気が利くじゃない。

「どうぞ。アイスティーで良かったよね?」

質問というより、明らかに確信してるような口調。

藤堂に差し出されたアイスティーを受け取りながら、私は素直に礼を言った。

「ありがとう」

こういうところは本当にスマートで感心してしまう。私の好みもちゃんと覚えてるんだよね。

映画は期待以上の出来でエンドロールが終わると二人で「良かったね」と顔を見合わせて席を立つ。

映画館を出てモール内のカフェでお茶してる時も、私は興奮して映画の感想を藤堂相手にしゃべり続けた。

こいつも聞き上手でニコニコしながら聞いてくれるから、それが凄く嬉しい。
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