俺様常務の甘い策略
「ほら、食べないなら俺が全部食べちゃうよ」

フォークを持った藤堂がケーキを口に運ぶのを見て、私はこいつから奪い取る。

「私が食べるわよ!」

ケーキをパクつく私を藤堂が楽しそうに眺める。

「昔……ハンバーガー屋でそうやって美味しそうにレアチーズケーキ食べてたよね?」

懐かしそうに語る藤堂の目が凄く優しくて、心臓がトクンと跳ねる。

ああ……だからレアチーズケーキ注文してくれたのか。

十年も前の話なのに……藤堂覚えてたんだ。

食べたレアチーズケーキはとても優しい味がした。

それからは、食料品を買いに来たという一番の目的を忘れ、お互いの好きなブランドの洋服を試着したり、足りない食器を買ったり、フードコートで食事をしたりして過ごした。

今日の締めとしてゲーセンでエアホッケーゲームをしているとあっという間に夜になった。

時刻は夜の八時。

「藤堂、あともう一回やろう!次は絶対私が勝つから」

たかがゲームなのに、藤堂に負けるのが悔しくて私は熱くなっていた。
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