俺様常務の甘い策略
「彼女はどう思ってるかは知らないけど、それはないね」

沙羅は泥酔したあの夜の真相を知らないし、妊娠した可能性があるとまだ思っているかもしれない。本能ではないと否定していても……。

「あっ?どういう意味だ?」

誠司が眉をしかめるが、俺は説明するのが面倒で頭を振った。

「何でもない。こっちの話。子供の話はちゃんと籍を入れてからだろうね。近いうちに彼女の両親にちゃんと挨拶するつもりだよ。その前に、本人を落とさなきゃいけないけどね」

「お前の話からすると、秋月もまんざらじゃないと思うがな。お前に丸め込まれたとは言え、嫌いな男なら一緒になんか住まないだろうし……。お前も突っ走らずに秋月の気持ちも尊重しろよ」

誠司が俺の目を見てフッと笑う。

「肝に銘じておくよ。それより、ここからが本題。社長のじいさんが先日の健診で糖尿病と診断されてね、近々経営の最前線から退く」

「つまり、次の社長にはお前が就くってわけか」
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