俺様常務の甘い策略
誠司は口角を上げると、コーヒーを口に運ぶ。

俺はこいつの言葉に目でゆっくり頷いた。

「それだけじゃない。空いた常務の椅子に座るのがお前」

俺はにっこり笑いながら告げる。

俺の話が寝耳に水だったのか、誠司は驚いて飲んでいたコーヒーを吐き出しそうになった。

「プッ……マジかよ」

「冗談でこんな話はしないよ。異例の人事かも知れないが、風間のためにも、お前のためにもなる。ちゃんと、将来を見据えてるさ。お前だっていずれ親父の跡を継いで社長になるんだろ?」

「まあそうだが……。それで、社長は大丈夫なのか?」

「極秘だが、今日から入院してる。とは言っても、食事習慣を身に付けるための教育入院で、二週間すれば退院なんだけど。医者に言われた事をきちんと守れば問題ないが、あのじいさんは監視されないと間食しそうだからね」

相当甘い物が好きだし、家にいれば駄目と言われても甘い物を口にするだろう。

「お前がタイミングよく戻って来て良かったな」
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