俺様常務の甘い策略
何だろう。さっきの電話に出なかったのが気になるし、妙な胸騒ぎがする。

デスクの上に置いた鍵にチラリと目をやり、鍵を掴もうと手を伸ばすが、何故か俺の指にぶつかってチャリンと音を立てて床に落ちる。

「……不吉だな。まさか……ね」

俺は床に落ちた鍵をじっと眺める。

郵便物を取って、俺の家に戻ってくれば何も問題ないだろ?

だが、何か起こってからでは遅い。

【悪い。今夜は先約があって一緒に飲めない。後でまた連絡する。】

素早くジョージにメールを打ち、パソコンの画面を落とすと、俺は床に落ちた鍵を拾って常務室を後にした。

車で運転して真っ直ぐ沙羅のアパートに向かう。

嫌な予感がして俺の心は凄く焦っていた。

途中、信号待ちをしている時に沙羅の携帯に何度か電話をした。

彼女のアパートの近くまで来て、ようやく電話が繋がる。
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