俺様常務の甘い策略
こいつ狂ってる。

このままだと……コロサレル。

何とかして逃げないと……。

でも、こんな時に限って身体が動かない。最悪だ。

……駄目だ。もう駄目だ。

無力な私を見て男が声を上げて笑う。

こんな男に負けてしまう自分が悔しい。

悔しくて目から涙が溢れ落ちる。

颯介……こんな私を見たら怒るだろうな。

いつだって何でもスマートにこなすあいつは私の目標だった。

颯介なら私みたいなヘマはしない。それは確信出来る。

あいつに対する絶対の信頼……。

脳裏に浮かぶのは颯介の憎たらしい程余裕の笑顔。

そう言えば私……あいつに告白されてたんだっけ?

私の答えは……結局言えないまま終るのか。

「颯介……ごめん」
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